マッチングアプリ。
現代の出会いの最前線。
人間がスマホ片手に恋愛を探し、指一本で人生を変えるかもしれない魔法のツール…のはずである。
が、しかし。
私の経験上、このアプリというものは恋愛の場というよりも、むしろ精神修行の場である。
「恋愛筋」を鍛える前に「忍耐筋」「諦め筋」「見なかったことにする筋肉」が鍛えられてしまう。
とくに、男性陣には大変申し訳ないが、女性目線で見たときの男性側の難易度があまりにも高すぎる。
私は20代女性だが、マッチングアプリで「お、この人と会ってみたい」と思えた男性は…驚くほど少ない。
正確に言うと、ほぼいない。
どうしてこうなってしまうのか。
ここで、特に私の心を折ってくる「マッチングアプリ三大地雷案件」をご紹介したい。
「こんにちは」の「は」が「わ」
これ。
これに尽きると言っても過言ではない。
アプリの通知を開くと、そこにはメッセージが届いている。
「こんにちわ!」
……いや、違う。
違うだろ。
「こんにちは」の「は」は助詞の「は」であり、「わ」ではない。
これは日本語の基礎中の基礎、義務教育で確実に教わることだ。
それをなぜ、ここで堂々と「こんにちわ」にするのか。
ウケ狙いか? 流行りに乗っているアピールか?
それとも、「自分は形式ばった日本語なんかに縛られない自由な男なんだぜ」的な自己演出か?
どれもいらない。
だって、そこに見えるのは、知性の壁、教養の断絶。
もうこの時点で「絶対に話が合わない」とシャットアウトしてしまう。
なんならイラっとさえしてしまう。
私がもしこれを許してしまったら、次のデートでは「ていうかオレ、マジでわらうわーwww」とか言われかねない。
いや、笑ってる場合じゃない。
初対面からタメ口・距離感バグってる人
これも多い。いや、多すぎる。
初めましての第一声が、
「マッチありがとう〜」
とか、
「写真見せてください」
とか、
いきなり「あそびませんか?」などの直球お誘い。
いや、あなたとはまだ初対面ですよね?
いや、初対面どころか、実物すら見たことのない状態ですよね?
私はこれを「パーソナルスペース踏み抜き案件」と呼んでいる。
日本人のパーソナルスペースは欧米人より広いと言われるが、その中でも序盤から土足で踏み込んでくるタイプだ。
アプリのチャット画面を開いた瞬間、こちらの心の玄関が「バタン!」と閉じてしまう。
だいたい、こういう人は会っても同じだ。
待ち合わせ場所で会った瞬間から「じゃ、とりあえずうち行く?」とか言い出す確率が高い。
せめて最初くらい敬語で、礼儀正しくしてくれたらいいのに…
なぜ「最初の印象」というものを軽視するのか、本当に謎だ。
名前を聞いてくるな!!!
私の本名はちょっと珍しい。
キラキラネームでこそないものの、人生で同じ名前の人に遭遇したことがない。
だからこそ、ネット上やマッチングアプリでは絶対に本名は出さないようにしている。
それなのに、自己紹介欄を「R」とかにしておくと必ず来る。
「名前なんですかー?」
これ、本当にやめてほしい。
しかも語尾の「ー?」が、なぜか妙に腹立たしい。
なんだろう、この「軽く聞いてみました感」。
仮に私の名前が「うんちブリブリ座右衛門」だったとしてもだ、まずは「うんちブリブリ座右衛門ちゃん」と呼んでほしい。
そこから「長いからブリちゃんでいい?」とか、そういう段階を踏んでほしいのだ。
この想像を膨らませると面白いが、現実はもっと淡白だ。
「名前は?」
「言いたくないです」
「えー、なんで?」
……ブロック。
そもそも名前を見ず知らずのアナタに知られたくなくて偽名にしているというのに、初めからわざわざ聞きに来る気が知れないというものだ。
ニッポンの男性諸君へのお願い
私はわかっている。
自分が言っていることが、ややこしく、うるさく、面倒くさい願いであることは重々承知している。
しかし、それでも言いたい。
お願いだから、最初からこの三大NGだけは避けてほしい。
・「こんにちは」を正しく書く
・初対面は敬語
・名前を根掘り葉掘り聞かない
たったこれだけで、スタート地点に立てるのだ。
そして、そこから先はあなた自身の魅力や誠実さで勝負すればいい。
マッチングアプリは、本来なら恋愛の可能性を広げるためのツールだ。
でも、現実には「ふるい落とし機能」のほうがよく働いてしまっている。
もしこの三つを守れる男性が増えたら、少なくとも私はもっとアプリを楽しめると思うし、出会いの質も上がるはずだ。
だからこそ、あえて声を大にして言いたい。
「ニッポンの男性諸君よ、頼むから一度このルールを胸に刻んでくれ!」